養育費の支払いはいつまで?

離婚調停等で、養育費をいつまで支払ってもらうか(養育費の支払い終期)については、よく問題となります。

(婚姻費用・養育費について)

 

これから取り決めをする場合

 

高校を卒業する18歳としたり、一般的に大学を卒業する22歳とする場合もありますが、調停では、暫定的な終期を決めるにとどめ、進路等に応じて両親間で協議するという条項を入れることもあります。

 

両親間の対立がそれほど激しくない場合には、協議して終期を決めるという方法をとることもあるでしょう。

 

まだ、お子さんが幼く、将来の進路について全く分からない場合には、柔軟に対応することが出来るため有効な方法と言えますが、途中で両親の関係が悪化する可能性を考えた場合、大きなリスクが伴うことには注意が必要です。

 

支払い終期の取り決めは、お子さんの年齢等、一義的に判断できる文言で取り決めておくこと(例えば、「●年●月まで」等)

が、トラブル防止につながります。

 

また、具体的な金額の取り決めについては、算定表にしたがって行うことが一般的ですが、算定表に基づいて取り決めした養育費だけでは、高額な大学への進学費用を支払うことは到底困難です。

 

国公立大学に進学した場合でも授業料等として年間50万円以上、私立大学に進学した場合には授業料等として年間130万円以上が必要になると言われており、下宿代や通学交通費が必要となる場合には、さらに高額な負担が発生します。

 

調停においては、両親の最終学歴(両親が大学卒業である場合には、終期を大学卒業までとすることが多いように感じます)や子の教育方針についての両親の認識も勘案して養育費の終期について取り決めをすることが多いです。

 

成人年齢の引き下げに伴い、養育費の支払い終期を18歳とする事例も少し増えてきてはいるように思われますが、やはり、調停等では、現段階でも20歳までとする事例が圧倒的に多いように感じます。

 

 

既に取り決めがある場合

養育費の支払い終期を22歳としていた場合でも、当然に大学への進学費用を相手に請求できるものではないことに注意が必要です。

 

相手方に対し、一切、お子さんの大学への進学について事前の相談も連絡もしておらず、相手がお子さんの大学への進学に明確に反対していた等の事情があれば、費用の請求は難しくなる場合もございます。

 

また、途中でお子さんが就職するなどして、経済的に自立した場合には、養育費の支払いを終えることができます。

 

そして、成人年齢引き下げ前に、養育費の支払い終期を「成人まで」と取り決めていた場合でも、成人年齢引き下げを理由に当然に終期が18歳になるものではないことに注意が必要です。

(この点についての法務省の見解についてはこちら。)

 

大学への進学費用の他にも、予期していなかった病気による入院費用等、養育費の取り決めをした時点では想定していなかった多額の費用の支払いが発生した場合には、養育費の取り決めとは別に相手方に費用負担を求めることを検討してみても良いと思われます。

 

養育費の請求や進学費用その他の請求をする方法としては、話し合い(協議)や、調停申し立てをする方法があります。

 

具体的にどんな費用が請求できるかについては、養育費の金額を取り決めた経緯等により異なりますので、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

 

そのうえで、相手方と話し合いができる関係であればまずは協議し、話がまとまらない場合には、なるべく早く調停を申し立てる方が結果的に早期解決につながる場合もございます。

 

離婚調停や面会交流調停とは異なり、金銭面の話が中心になるため、話し合うべき点が絞られており、双方が必要な資料(現在の収入についての資料や大学費用に関する資料等)を提出することで足りる場合が多いためです。

 

進学費用等は支払い時期もある程決まっているものが多く、お子さんの進路に合わせて、早めに話し合いを開始することが望ましいでしょう。

   

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