離婚の話を切りだしても、相手がまったく聞く耳を持ってくれないケースがあります。相手の反応を見て絶望し、「どうしてわかってくれないんだろう」「話も聞いてくれないなんて」とよけいに辛い気持ちになっている方もいるかもしれません。
しかし、たとえ相手に離婚をする気がなくても、あなたに離婚の決意があれば離婚に向けた準備はできます。ここでは、相手が離婚話に応じてくれない場合の対処法について紹介します。
離婚話に応じてもらえない場合の対処法
離婚でもっとも簡単なのは、当事者だけの話し合いで離婚する「協議離婚」です。しかし、話し合いに応じる気が相手にない場合は、当事者以外の人間にサポートしてもらうなどの対策が必要になります。
信頼できる人間に仲介を頼む
親や兄弟、共通の友人など信頼できる人間に相談しましょう。夫婦の事情を理解している人に話し合いの席に同席してもらえば、まともに話ができる可能性が高くなります。
ただし、当事者に近い立場の人を話し合いに介入させることには、かえって話をこじらせるリスクもあります。双方が感情的になり、まとまる話もまとまらなくなってしまう危険があるのです。
弁護士に相談する
弁護士に相談するのもおすすめです。中立的な立場の第三者を仲介役にすることで、冷静に話し合いができる可能性があります。もし話し合いがまとまらない場合でも、調停、裁判といった形で離婚に向けた手続きを進めることも可能です。さらに、子供の親権、財産分与など離婚に伴う法的な問題にも対処できます。
離婚調停を申し立てる
家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法もあります。調停は、裁判所を仲介役にして行う話し合いです。裁判官と調停委員(男女1名ずつ)で構成された調停委員会が、話し合いの仲裁役になってくれます。
離婚調停のメリットは、中立的な立場の第三者を介することで冷静な話し合いが期待できる点です。調停委員が当事者双方の言い分をよく聞き、話し合いを進めてくれます。
話し合いがまとまって調停が成立した場合、合意した内容は「調停調書」という書面にまとめられます。この書面は、裁判所の判決と同じように法的効力を持っています。もし離婚が成立した場合は、この書面の内容を元に慰謝料や養育費などを元配偶者に請求することも可能です。
別居する
離婚への固い意志を配偶者に示すためには、「別居を提案すること」も効果的です。別居状態が長く続けば、もし裁判になったときでも「夫婦関係が実質的に破綻している」として離婚が認められやすくなります。
離婚に向けた話し合いの準備を進めるとともに、別居することも検討してみましょう。なお、別居中の生活費・子供の養育費については、婚姻費用として配偶者に請求することも可能です。詳しくは弁護士にご相談ください。
証拠を用意する
浮気、DV、モラハラなど配偶者に原因があって離婚する場合は、配偶者の悪行を証明するための「証拠」を集めることも大切です。証拠があれば相手との交渉もしやすいですし、その後の調停や離婚裁判でも有利に戦えます。
浮気であれば、不倫相手とのメール、ラブホテルで一緒にいるところを押さえた写真などが有力な証拠になります。探偵や興信所に依頼し、証拠を集めてもらいましょう。
また、DVなどの場合は、医師の診断書、ケガの写真、録音データなどが有力な証拠として使えます。
子供を連れて別居する場合の注意事項
子供を連れて別居する場合は、「連れ去り」にならないように注意しなければなりません。夫婦間で合意ができていないのに、勝手に子供を連れて出て行ってしまうと後々問題になる可能性があるからです。
特に、子供の意思に反した連れ去りなどでは、のちのち親権を獲得するときに不利になります。逆に、配偶者が子供に虐待していた、主に養育を担当している親が子供を連れて行った、といった事情があれば、そこまで問題視はされません。
ちなみに、別居後、配偶者の元に残っていた子供を連れ去る行為は違法と評価されやすく、後の親権争いで不利になるおそれがあります。
子供がいる場合は、できれば別居の前に配偶者とよく話し合うことをおすすめします。
まずは弁護士にアドバイスを求めてみて
離婚を決意したら、一度弁護士にご相談ください。相手が離婚話に耳を貸してくれない場合でも、弁護士という第三者を間に入れることで本格的な交渉をスタートさせられる可能性があります。また、離婚調停や離婚裁判といった形で離婚の手続きや話し合いを進めることも可能です。
たとえ離婚することで合意できたとしても、離婚には慰謝料や財産分与といった法的な問題も絡んできます。条件面で折り合えないと離婚トラブルが長期化する原因にもなりかねません。トラブルの早期解決を図るためにも、早めに弁護士からアドバイスを受けることをおすすめします。