成年後見人制度について |筧法律事務所|明石・篠山で40年以上の弁護士実績

成年後見人制度について

成年後見制度とは

知的障害・精神障害・認知症などによって、ひとりで決めることに不安や心配がある人が、いろいろな契約や手続の際にサポートし、また、不当な契約等から守るための制度です。

 

認知症、 知的障害、精神障害などの理由で、ひとりで決めることが心配な方々は、

財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や

身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。

また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまうなどの被害にあうおそれもあります。

このような方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援を行うのが成年後見制度です。

 

たとえば、預貯金の解約、保険金の受領、不動産の売買などを行うには、その行為をすることによって、

自分がどのような利益を受け

どのような不利益を受けるか

を十分理解する必要があります。

 

成年後見制度は、本人がそうした判断ができない場合や判断を行うに当たって援助が必要な場合に、本人に代わって判断したり、

本人を援助したりする人を選ぶための手続です。

また、周りに財産管理をする人がいない場合だけでなく、親族が死亡して遺産分割協議をする必要があるのに相続人の一人の判断能力が不十分な場合にも、成年後見制度を利用することもあります。

 

法定後見制度の3つの区分

 

成年後見制度は、法定後見制度任意後見制度に大別されますが、そのうち法定後見制度は、本人の判断能力の程度によって、

さらに次の3つの類型に区別されます。

後見 判断能力が欠けているのが通常の状態である場合

保佐  判断能力が著しく不十分な場合

補助  判断能力が不十分な場合

 

家庭裁判所は、精神上の障害によって、

判断能力が欠けているのが通常の状態の方については後見開始の審判

判断能力が著しく不十分な方については保佐開始の審判

判断能力が不十分な方については補助開始の審判をすることができます。

 

本人の判断能力の程度については、医師の診断書を基に判断能力の程度に応じて、どの制度を利用することになるかが決まるものであり、自由に選べるものではありません。

 

(1) 後見開始の審判

精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が欠けているのが通常の状態の方(本人)を保護するための手続です。

家庭裁判所は、本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は、本人の財産に関する全ての法律行為を本人に代わって行い、

また、成年後見人又は本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては、日常生活に関するものを除いて、取り消すことができます。

なお、成年後見人になったからといって、本人の財産が成年後見人のものになるわけではありません。

 

(2) 保佐開始の審判

精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が著しく不十分な方(本人)を保護するための手続です。

家庭裁判所は、本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して、申立人が申し立てた特定の法律行為について、代理権を与えることができます。

また、保佐人又は本人は、本人が保佐人の同意を得ずに自ら行った重要な法律行為(借財,保証,不動産その他重要な財産の売買等)に関しては、取り消すことができます。

なお、本人以外の方の請求により代理権の付与の審判をするには、本人の同意を得る必要があります。

 

(3) 補助開始の審判

精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が不十分な方(本人)を保護するための手続です。

家庭裁判所は、本人のために補助人を選任し、補助人には申立人が申し立てた特定の法律行為について、代理権もしくは同意権(取消権)のいずれか又は双方を与えることができます。

補助開始の審判をするには、同意権の付与の審判又は代理権の付与の審判を同時にしなければならないので、申立人にその申立てをしていただく必要があります。

なお、本人以外の方の請求により補助開始の審判、同意権の付与の審判又は代理権の付与の審判をするには,本人の同意を得る必要があります。

 

申し立てについて

成年後見制度を利用するには、裁判所への審判申立をします。

家庭裁判所では、後見等の開始の審判をすると同時に成年後見人等を選任します。

成年後見人等の選任に当たっては、家庭裁判所が、ご本人にとって最も適任だと思われる方を選任します。

申立ての際に、

ご本人に法律上又は生活面での課題がある

ご本人の財産管理が複雑困難であるなどの事情が判明している場合には、

弁護士司法書士社会福祉士など、成年後見人等の職務や責任についての専門的な知識を持っている専門職が成年後見人等に選任されることがあります。

 

申立書には、成年後見人等の候補者を記載する欄があり、親族や財産管理を依頼したい弁護士等を記載することはできますが、

裁判所の判断により、候補者ではない、全く別の第三者が選任されることもあります。

 

誰を成年後見人等に選任するかという家庭裁判所の判断については、不服申立てをすることができません。

候補者以外の第三者が成年後見人に選任されたことを理由にする取り下げは一般的にできないことに注意が必要です。

 

成年後見人等は、ご本人の意向を尊重し、安定した生活を送ることができるよう、ご本人の身上に配慮する必要があります。

また、財産を適切に管理する義務を負っていますので、成年後見人等がご本人の財産を不適切に管理した場合には、成年後見人等を解任されるほか、損害賠償請求を受けるなど民事責任を問われたり、業務上横領などの罪で刑事責任を問われたりすることもあります。

 

申立てをすることができる方

・ 本人(後見・保佐・補助開始の審判を受ける者)

・ 本人の配偶者

・ 本人の四親等内の親族(本人の親,祖父母,子,孫,兄弟姉妹,甥(おい)姪(めい), おじ,おば,いとこ,配偶者の親,子,兄弟姉妹などが本人の四親等内の親族に当たります。)

・ 成年後見人・成年後見監督人(保佐・補助開始の審判の申立てについて)

・ 保佐人・保佐監督人(後見・補助開始の審判の申立てについて)

・ 補助人・補助監督人(後見・保佐開始の審判の申立てについて)

・ 未成年後見人・未成年後見監督人(後見・保佐・補助開始の審判の申立てに ついて)

・ 検察官

・ 市町村長

・ 任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人(任意後見契約が登記されているとき)

 

任意後見制度とは

以上のような法定後見と異なり、本人があらかじめ公正証書で結んでおいた任意後見契約に従って、本人の判断能力が不十分になった時に、任意後見人が本人を援助する制度です。

家庭裁判所が、申立てに基づき審理して、任意後見監督人を選任したときから、任意後見契約の効力が生じます。

 

相談事例

 

・相続人の中に、判断能力が不十分な方がいて、遺産分割の話が進まない

・認知症の親の介護をしている兄弟が、財産を使い込んでいる

・施設に入所したいが、認知症のため、契約ができない

・認知症の親が、よくわからない契約を結んでしまい困っている

・精神障害等のため、財産管理をするのが不安だ。

このようなお困りごとがございましたら、一度ご相談ください。

ご相談のご予約はメールでも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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