任意後見契約について |筧法律事務所|明石・篠山で40年以上の弁護士実績

任意後見契約について

任意後見契約について

任意後見制度とは、当事者間の契約により後見人を決める制度を言います。

これに対し、法定後見制度は、法律に基づいて後見人を決める制度です。

法定後見制度に関するコラムはこちら

任意後見制度とは、ご自身が判断能力のある状態のうちに、後見人をお願いしたい相手との間で任意後見契約を締結しておくという

ものです。

その後、判断能力が低下した段階で、任意後見人が家庭裁判所に対して、任意後見監督人選任の審判を申立て、

家庭裁判所において任意後見監督人(任意後見人を監督する役割を担います)が選任されることで任意後見契約の効力が生じること

になります。

任意後見人になれる人

任意後見人を誰にするかは自由に決めることができるため、親族や友人だけでなく、弁護士等の専門職に依頼することも可能です。

何についての代理権を与えるかも契約で自由に決定できるため、ご自身の希望に応じた契約内容での利用が可能になります。

任意後見人、任意後見監督人の報酬について

任意後見契約時に任意後見人の報酬についても決めておく必要があるため、後になって予期していなかった高額な報酬を払わ

なければならなくなるということがなく、安心して制度を利用できます。

ただし、任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が決定することには注意が必要です。

つまり、任意後見人の報酬と任意後見監督人の報酬が二重で必要となるため、それなりの費用負担が生じることになります。

任意後見契約のメリットとは

任意後見制度を利用することによって、判断能力が低下した後の施設入所契約や施設費用の支払い預金の引き出し等を信頼できる

任意後見人に行ってもらうことができる点が一番のメリットだと思われます。

任意後見人は定期的に任意後見監督人に対し、財産状態等について報告しなければなりません(報告の頻度も任意後見契約書

に記載することになります)。

任意後見監督人は任意後見人からの報告を確認し、年に1回家庭裁判所に対して報告しなければならないことから、二重のチェック

が働くことになります。

これにより、任意後見人に財産を使い込まれる等の不正行為が為される可能性を低減させることができます。

判断能力が低下する前の財産管理について

今は判断能力に問題はないけれど、身寄りがなくて不安があるという場合には、任意後見契約締結と併せて、財産の管理や緊急時の

対応について委任したい内容の契約を締結する方法もあります。

また、緊急時については、万一に備えて民間の警備会社の見守りサービスを利用する方法も有用です。

そうすることで、判断能力には問題がない段階から、判断能力低下後に渡って切れ目なくサポートを受けることが可能になります。

遺言書について

任意後見契約は死亡と同時に終了してしまいます。

死後発生する事務や相続については、遺言書を作成することをお勧めします。

死後の埋葬方法や財産の処分等について遺言書で決めておけば、ご自身の希望を死後まで貫徹させることも可能になります。

任意後見契約や財産管理、遺言書の内容については、特に制約がないため、自由に柔軟に決めることが可能です。

ニーズに応じて、様々な契約を組み合わせることによって、最期まで自分らしく生きることが可能になると思われます。

任意後見契約はいつ締結するの?

前述の通り、任意後見契約の締結は判断能力がある状態でしかできません。

制度の利用をお考えの場合は、早めに契約締結を進めておく必要があることに注意が必要です。

任意後見契約は公正証書によってしなければならないため、公証人が判断能力に疑問を抱くような状態になっていれば、契約締結は

不可能です。

任意後見契約締結後であっても、効果が生じるまでの間であれば、制度の利用を取りやめたり、任意後見人を変更することができる

ため、まずは、契約を締結しておくのがよいと思われます。

なお、任意後見契約締結後、判断能力が低下することなく、病気や事故で死亡した場合には、任意後見契約は効力が発生しないまま

終了するため、特に不利益は生じません。

法定後見制度について

任意後見契約を締結しないまま、判断能力が低下した場合でも、法定後見制度を利用することは可能です。

法定後見制度の利用は、本人だけでなく、親族からの申し立てによっても可能です。

法定後見の場合は、判断能力の程度によって、成年後見、保佐、補助の区分があり、それぞれの区分によって、法定後見人の権限の

内容が異なります。

ただし、法定後見制度は任意後見制度と違って、裁判所が法定後見人を選任します。

親族間に紛争がある場合や、多額の財産がある場合等には、弁護士等の専門職が選任されることが多いです。

法定後見制度の場合も、法定後見人は家庭裁判所に対して定期的に財産状況等について報告する義務があるため、家庭裁判所によ

るチェックは働きますのでご安心ください。

ただし、一度法定後見人が選任されると、基本的には解任することはできない点には注意が必要です。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

どのような制度を利用するのが相当かは、具体的な事情に応じて異なります。

任意後見制度に関心がある方、任意後見制度の利用をお考えの方は、お気軽に当事務所にご相談ください。

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